研究科紹

研究科長からのメッセージ

自然科学研究科 研究科長

    鶴田 健二

 本学の自然科学研究科は、昭和62 (1987)年4月に博士課程研究科として発足した後、平成17 (2005)年度からは、複数学部を基礎学部として、前期課程と後期課程を一体化した区分制総合大学院として、岡山大学の目的である「人類社会の持続的進化のための新たなパラダイム構築」の一翼を担ってきました。その後も再編を行い、平成30 (2018) 年4月には、本研究科の一部が分離して工学における医学応用分野の確立を目指すヘルスシステム統合科学研究科が発足しました。同時に、異分野基礎科学研究所を基盤として、様々な先端基礎科学分野を横断的に学ぶ学際基礎科学専攻の設置により、現在は博士前期課程7専攻、博士後期課程5専攻、および5年一貫制博士課程1専攻の体制になっています。

産業革命以後の目覚ましい科学技術の発展により、我々の生活は快適かつ便利になりました。反面、エネルギーや環境問題など解決すべき問題が山積です。科学や技術の力によって、これらの問題を解決するための人材を養成することは大学の大きな使命であります。すなわち、科学上の新たな発見や技術の発展において、世界をリードできるしっかりとした専門性と、複雑な問題に対応できる多面的な知識に基づく柔軟性を兼ね備える人材の育成が必要です。このような観点から、現在の自然科学研究科は、科学および技術の進展を牽引する基礎科学と応用工学を両翼として、それぞれの専門分野の「深化」を図るとともに理学と工学の「融合」を取り入れた大学院になっています。また、総合性と学際性を有した国際的に活躍する研究者、技術者、教育者を育成できるように「機能分化」と「協調」の両立が可能な教育・研究組織となっています。さらに、社会の要請に応える教育研究組織として、世界のリーディング大学に伍して卓越した研究成果を発信するとともに、その最先端の研究に裏打ちされた教育により自立して問題を解決し、グローバルに活躍できる人材育成を目指しています。同時に、環境生命科学研究科と連携する「研究科横断Flex BMDコース」などにより、異分野融合教育を行うとともに、学部と大学院のスムーズな接続を図っています。

人類社会の持続的発展のために科学技術人材の果たすべき役割は非常に重要であり、そのための人材を育成する自然科学研究科の責務は計り知れず重いものと考えます。本研究科は「深化」と「融合」の実践により、卓越した教育研究を担う大学院として「学都」岡山大学を実現するとともに、科学技術のグローバル化、Society 5.0社会の構築に向けて、地域はもちろん、日本の産業や社会の活性化、さらには国連の掲げる持続可能な開発目標(SDGs)にも大きく貢献できるようにします。

以上のように、本研究科は岡山大学の中核を担う部局の一つとして先進的な教育研究組織を有しています。世界最高水準の研究成果の創出と人材育成を行うためには、教職員の教育研究への情熱と不断の努力は当然のことですが、産業界や行政との連携を強化していく必要があります。大学を取り巻く関係者の皆様に本研究科の教育・研究・人材を積極的にご活用いただくことにより、夢のある、持続可能な社会が実現できることを心より望んでいます。