電気の力で有機半導体分子の合成に成功  レアメタルを使用しない、低コストかつ高効率での合成を実現

 岡山大学大学院自然科学研究科(工)の菅誠治教授、光藤耕一准教授らの研究グループは、溶液に電気を流して反応をおこなう有機電解という手法を用いることにより、有機太陽電池や有機トランジスタに用いられる有機半導体分子を効率的に作る方法を開発しました。本成果は3月19日、ドイツの科学雑誌「Angewandte Chemie International Edition」の電子版Early Viewに掲載されました。
現在、軽くて柔らかい電子デバイス(ウェアラブルデバイス)の実現に欠かせない、軽量で高性能な有機半導体分子の開発が盛んに研究されています。このような分子を作るには高価で貴重なレアメタル触媒を使うのが一般的ですが、製造コストが高くなり、また合成した半導体にレアメタル触媒が混入してしまうことがあるのが問題でした。今回、安価な臭化物塩をわずかに加えて、電気を流すと、レアメタル触媒を用いなくても、非常に効率よく有機半導体分子が得られることを見いだしました。本技術を用いれば、有機半導体分子の合成を低コストかつ高効率で行うことができるので、有機半導体分子の大量合成に大いに役立つと期待されます。

       

 

■論文情報
論 文 名:Electrochemical Synthesis of Thienoacene Derivatives: Transition Metal-Free Dehydrogenative C–S Coupling Promoted by a Halogen Mediator
掲 載 紙:Angewandte Chemie International Edition
著  者:Koichi Mitsudo,* Ren Matsuo, Toki Yonezawa, Haruka Inoue, Hiroki Mandai, and Seiji Suga*
D O I:10.1002/anie.202001149

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