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メスの目移りを防ぐオスメダカ 〜恋敵に奪われないための二重の戦略〜

異性を手に入れるために努力し、同性で競い合う、というのは人間の世界だけでなく広く動物界で観察される現象ですが、その行動の意義や行動発現のメカニズムに関しては、観察を越える実験的評価が難しいことなどから、まだ十分に明らかになっていません。今回、基礎生物学研究所の横井佐織博士、岡山大学大学院自然科学研究科の竹内秀明准教授らの研究グループは、メダカの三角関係(オス、オス、メス)において、オスは配偶者防衛行動(ライバルオスとメスとの間の位置をキープし、両者の接近を防ぐ)により、メスがライバルオスを記憶することを妨害することを発見しました。これまで配偶者防衛行動の生態的意義として、ライバルオスとメスとの直接的な接触を防ぎ、配偶行動を妨害するという点が注目されてきましたが、それに加え、メダカの三角関係では「ライバルオスを記憶できないようにすることで、自らが配偶相手として選ばれる確率を上昇させる」という意義も存在することが実験的に示されました。研究成果は動物学専門誌「Frontiers in Zoology」に2016年6月2日付けで掲載されました。

(16.07.30)