トピック

窒化ホウ素の高いガス吸着能を立証!~炭素材料に替わる新たな吸着材としての利用開拓へ~

2021年01月05日

◆発表のポイント

  • 微細な孔を付与した高比表面積窒化ホウ素を作製し、高いガス吸着能があることを示しました。
  • 空気中で焼成しても700℃まで吸着材としての機能が保持されることを示しました。
  • 炭素材料では燃焼してしまうような過酷な条件でも使える耐熱性・耐酸化性に優れた吸着材や触媒担体としての利用が期待されます。

 岡山大学大学院自然科学研究科(理)の大久保貴広准教授らの研究グループは、同大学異分野融合先端研究コアの仁科勇太研究教授、長崎大学大学院工学研究科の瓜田幸幾准教授らと共同で、セラミックス材料の一つである窒化ホウ素が耐熱性と耐酸化性に優れたガス吸着材として利用できることを発見しました。
 研究成果は2021年1月4日、英国の王立化学会(Royal Society of Chemistry)発行の科学雑誌「RSC Advances」電子版に掲載されました。
 窒化ホウ素は炭素材料と構造が類似しており、白色の物質であることから「ホワイトカーボン」と称されることもあります。一方で、炭素材料とは異なり窒化ホウ素は電気絶縁性である上に、化学的にみると窒素原子とホウ素原子間に電気陰性度の違いにより電荷の偏りが生じることから、材料表面に吸着した分子との相互作用は2つの材料で異なると考えられます。大久保准教授らの共同研究グループは、ナノ空間を有する窒化ホウ素を合成し、液体窒素温度(-196℃)下における窒素ガスの吸着量について圧力による変化を活性炭の場合と比較して検討しました。その結果、窒化ホウ素由来の吸着材の方が、活性炭よりも窒素分子を吸着する能力が高いことがわかりました。この結果は、窒化ホウ素の表面と窒素分子との相互作用が、活性炭表面と窒素分子間の相互作用よりも大きいことを示しています。また、実用上興味深いのは、空気中で焼成しても少なくとも700℃までは構造が維持されていることです。窒化ホウ素を用いることにより、耐熱性・耐酸化性にも優れた新たな吸着材の開発が可能であるとの道筋が見えてきました。

図1.六方晶系窒化ホウ素(左)と黒鉛(右)の構造 図2.ポーラスBNの透過型電子顕微鏡(TEM)像 図3.ポーラスBNおよび活性炭へのアルゴンの吸着量に対する窒素の吸着量を示した図

◆研究者からのひとこと

長らく研究で使ってきた炭素材料と類似点が多い物質でありながら、見向きもしてこなかった窒化ホウ素のことがふと気になり、新たに研究室に配属した学生と共に研究を始めました。学生と議論を交わし、共著者の協力により論文の採択に至りました。窒化ホウ素は空気中で簡単には燃えないので、広く利用できると期待しています。  大久保准教授

 

 

■論文情報
論 文 名:Adsorption enhancement of nitrogen gas by atomically heterogeneous nanospace of boron nitride
  邦題名「窒化ホウ素の原子レベルで不均一なナノ空間による窒素の吸着促進」

掲 載 紙:RSC Advances
著  者:Jun Kimura, Takahiro Ohkubo, Yuta Nishina, Koki Urita, Yasushige Kuroda
D O I:10.1039/d0ra08437a
U R L:https://doi.org/10.1039/d0ra08437a[New window]

<詳しい研究内容について>
窒化ホウ素の高いガス吸着能を立証!~炭素材料に替わる新たな吸着材としての利用開拓へ~[PDF]

<お問い合わせ>
岡山大学大学院自然科学研究科(理)
准教授 大久保 貴広
(電話番号)086-251-7843
(FAX)086-251-7843

(21.01.05)